うちの のんさん~常連客しずさんの子育て日記〜 #1

Essay

偏食大魔王

うちののんさんは、自閉症です。そして、重度の知的障がいでもあります。
のんさんは、偏食が結構あります。それでも、20 歳となった今ではずいぶん、いろいろな食べ物を口にすることができるようになりました。

「偏食」と聞くと、どんなイメージなのでしょう。
ただの好き嫌い? わがまま? 食べず嫌い?
それとも、親が怠慢で、食事をいろいろ工夫しなかったから?

発達障害を抱えてる子を持つお母さんで、子どもの「偏食」に悩んでる人、きっとたくさんいるんじゃないかな?と思います。

さきほどのイメージの「偏食」どころの騒ぎではないのです。

のんさんは、幼児期にうどんしか食べない子でした。うどん。素うどん。
他のものを一切、受け付けない。考えられないですよね?うどんだけって。
私も、ほんと、どうしたらいいか、随分悩みました。

例えば、食卓にはいろいろなメニューを出す、子ども向けに色とりどりにするとか、形を変えるとか、食器を変えてみるとか、思いつく工夫はすべてやりつくしましたが、いっさい受け付けない。病院、保健師さん、いろいろなところに相談もしました。けれど、これといった解決法が見当たりません。

そして、周りから先ほどのイメージで見られてるではないか?という重圧。
うどんしか食べなくて、栄養的に大丈夫?という不安。
「偏食大魔王のんさん」を抱え、闘う日々が続きました。

発達障がい児さんの偏食には、さまざまな理由が存在します。一例として、感覚過敏がその理由に挙げられます。口腔内の感覚が過敏で、例えば揚げ物のカリカリ感が刺さるように感じるとか、噛む音が気持ち悪くて耐えられないとか、においが耐えられないとか、通常の人には感じられない敏感さや繊細さで偏食になったりするのです。

その他、初めて見る食材や料理が食べられない、黒い食材が食べられないなど、想像の特異性からくる「こだわり」から、生理的に食べられない場合もあります。ちなみに切り方が違ったり、調理法が違うと、同じ食材でも「初めて」の別のものと認知してしまうこともあります。

そうやって「偏食大魔王のんさん」の生態を調べるうちに、いろいろわかってきて、あるとき、「ああ、もう、いいや!」って思いました。
のんさんは、にこにことうどんだけ食べてる。おいしく、楽しく食べてる。それでいいかって。幸い、身体にも異常は見られないし、死にそうにない。いつか、「はじめて」の食材も、なくなっていくだろうし、ふと、食べてみようって興味がでるときが来るかもしれない。それを待とう。あれこれ言ってくるやつがいたら、自分が知り得た「知識」で応戦してやる。そうじゃないやつは、もう、無視だ。それくらい、開き直りました。

その後、のんさんは、少しずつ食べられる食材が増えていきました。
うどん食べてたら、かまぼこが食べれるようになって、海老天うどんから、「えび」が大好きになって・・・などなど。
私の苦手な「ネギ」をぱくぱく食べてます。

そして、大きな病気もせず、すくすく育って、大人になりました。
今でも、食べられないものは多いです。
けど、食べることは「大好き」です。

無理やり食べさせるようなことは絶対にしない。
楽しく、おいしく食べる。
「食べる」ことを嫌いにならないように・・・。

そこだけ守っておいたら、たぶん、大丈夫じゃないかなって、今は、思っています。
「偏食大魔王」は、実はたくさん生息していて、その数だけ、闘うお母さんがいること。
いろいろな人に、その理由を「知って」もらえたら、それだけでお母さんの「ダメージ」が減ります。闘うお母さんは、それだけ「偏食」に悩んでて、でもそれは、子どもの「食」にそれだけ真剣に向き合ってるって事なんです。

がんばれ!闘うお母さん!

マックのポテトしか食べなくったって、白い物しか食べなくたって、揚げ物の「がわ」しか食べなくったって、たぶん、きっと大丈夫。

次回は2021年7月1日に配信です~(^^♪

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