うちの のんさん~常連客しずさんの子育て日記〜 #4

Essay

衣服へのゆずれないこだわり

視覚のこだわりや、感覚過敏からのこだわりが様々あり、普段の生活の中でも多々のんさんルールが発生する。衣服へのこだわりもそのひとつである。

いくつか思いつくものをあげてみた。きっと、自閉症スペクトラム症のお子さんの数だけ、それぞれのこだわりがあると思う。

「ぴっち切る~」

のんさんは、新しい服や下着を買うと、必ずそう言ってくる。「ぴっち」とは衣類についているサイズ表記などの「タグ」のことであある。のんさんは、感覚過敏があるので、衣類などの「タグ」が肌に触る感覚をキャッチしてしまい、その感触がどうしても苦手なのである。今でこそ、「切ってくれ」という意味で、「ぴっち切る~」と訴えてくるが、小学生くらいの時は、気が付いたら黙って切っており、タグだけでなく、衣服本体までも切ってしまい、新しく買ったばかりのものに、穴が開いてしまうという悲劇を繰り返していた。今でも、たまにやってしまうこともある。

「可愛いのがいいの~」

のんさんは、下着は、ボクサーパンツより、トランクス派である。そして、その柄に強いこだわり持つ。それは、柄が「可愛い」ものであること。キャラクターものや、クマやうさぎ、パンダなどの動物系の可愛い柄のものがお気に入りである。もしくは、派手な原色系の水玉模様や、アルファベットのロゴが細かく入ったものなども、ぎりぎり許せるらしい。とにかかく、見た目に「なんか可愛らしい」と感じるものでないと履きたくないらしい。

「レイヤードスタイル」

のんさんには、こんなおしゃれ着方は存在しない。重ね着をしてファッションを楽しむなどありえないのだ。とにかく、羽織るものが苦手なのか、カーディガンなども着てくれないので、衣服で温度調節とかまずもってできない。昼間は暑かったけど、夕方涼しくなったから、カーディガンでも羽織ったらと思うのだが、絶対に着ない。どんなに寒くても、アウターを着ることを一度は必ず拒否する。寒いから、どうか着てくださいとお願いしてやっと着てくれるが、
あっという間に脱いでしまったりする。制服のブレザーも、数回袖を通しただけで、きれいなままで、卒業式を迎えた。

「ウエストはゴムパンツ」

ズボンは必ず「ウエストゴム」である。今でこそ、ウエストゴムのストレッチパンツなど、よく見かけるようになったが、のんさんが中学生くらいの頃が、一番なかったように記憶している。小学生くらいがはくものにはウエストゴムパンツはよくあるのだが、中学生以上の体格になってくると、ウエストゴムパンツがなくて、ずいぶん探し回ったものである。学校の制服もウエストをゴムに変更してもらった。自分で着脱が可能であるというのが一番の理由だが、ウエストが「楽」なのがいいのは、障がいのあるなしは関係ないのかもしれない(笑)

「ボタンは1 番上まで」

シャツや、ポロシャツなどボタンがついているものは、必ず、一番上まできっちりとはめる。1 番上だけ外すとか、シャツは羽織るとかは、ありえないようだ。
ちなみに、私がポロシャツを着ていると、「ボタン~」といって必ず、一番上のボタンをはめてくれる(笑)。

ほんの一部のこだわりだが、正直、めんどくさい以外の何物でもない。自閉症スペクトラム症のお母さん、このめんどくささに慣れて、随分「我慢上手」になってませんか?


『うちの のんさん~常連客しずさんの子育て日記』は今回で一旦、配信を終了いたします。

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