うちの のんさん~常連客しずさんの子育て日記〜 #2

Essay

スケジュールの呪縛

のんさんは、はじめてのことが苦手である。
はじめての場所、はじめての人、
はじめてのこと、全て。
ここがどこなのか、何が起こるのか、
先の見通しが立たないことに
恐ろしいほどに、不安を抱くようだ。
1 日を過ごすのにも、
ルーティーンが決まっていると
落ち着いて過ごせる。

なので、スケジュールをカレンダーに書いてあると安心し、
献立が貼ってあると安心する。
小さい頃は、一日のスケジュールを
ホワイトボードに提示していて、
朝起きて、夜寝るまでを明記していた。

朝7時に起きる。
トイレに行く。
顔を洗う。
ハミガキをする。
朝ごはんを食べる。
着替える。
学校に行く・・・・・。

学校の時間割があり、
帰宅してからの手順も、それから、
土曜も日曜も、どこへ行き、何をするのかも、すべて
明記してあった。

スケジュールも、はじめは絵や写真を使用し、
文字の理解ができるものは、文字を使用し、
理解が進めば、絵や写真を減らしていった。

学校で、遠足などの行事があれば、
必ず、事前に下見をしていた。
宿泊学習や、修学旅行も、
事前に親子で泊まってみて、予定通りに動いてみて、
写真を撮り、それをスケジュールに組み込んでいた。

登山があれば、実際に登ってみたり、
遊園地に行くとあれば、遊園地に行ってみる。
そして、そのときに、何か問題が発生しないか、
のんさんが混乱することがないか、
事前に想像し、対策を考える。

そして、のんさんは、一度経験をしたり、
実際に見ていると、不安がかなり軽減され、
スケジュール通りに過ごすと比較的、落ち着いていた。
(比較的と言うのは、落ち着かず、不穏になる他の原因が多々あるので、
「比較的」と言う言葉を使用した。)

今では、いつもと違うことをする時、
簡単なスケジュールを伝えるだけでよくなっている。
そして、慣れる速度も早くなっている。
スケジュールの変更に関しては、
小さい頃、不穏になることもあったが、
ほどなくして、事前に提示すると、平気になった。

はじめは、そこまでする?と思うほど、事細かな
スケジュールに従って生活していたのに、なぜ
徐々に簡素化されていったのか。

自閉スペクトラム症のお子さんは、
ルーティーンが決まってると
落ち着いて過ごせることが多い。
けれど、それすらも、「こだわり」になって
本人を苦しめる結果になりやすい。
その通りに過ごさないと
落ち着かなくなってしまい、
スケジュールの呪縛に囚われてしまうからだ。

世の中、マイルールに従ってのみ生きるのは、非常に生きづらくなる。自分ひとりだけで生きているのではないのだから。社会において、他者と共に生きるには、みんなのルールを守ることも必要となってくる。

なので、これは、私の中の勝手にやっていたことだが、落ち着いたら、それまでやっていたことや順番を少しだけ変化させる、やめてみるを繰り返してきた。

今日は、これはしなくていっか、とか、今日はここ行かなくていっかという日を作る。
「新しい」ことにも挑戦する。「せねばならない」を「ま、いっか」と許せる方が楽に生きていける気がしたので…。

これも、なかなか大変で、「ま、いっか」となるまでに、随分と時間がかかるものあったり、「ま、いっか」といまだにならないものもあるけれど、諦めずに、そうしていたら、分刻みのスケジュールが、どんどんなくなり、「今日の予定」程度でよくなった。

自閉スペクトラム症のお子さんの子育てで、「構造化」や「環境の配慮」などの大事さもあるけれど、その先に、社会で生きていくことも想像しながら、対応していくのも大事なのかもと思っている。

自閉スペクトラム症の特性で、こだわりにがんじがらめになりがちなんで、「まいっか」って思えた経験をあえて積み重ねるのも、楽に生きれる方法かもしれないない。

次回は2021年8月1日に配信です~(^^♪

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